11/1(土)〜11/3(月)まで、舞鶴ではだるま祭りが開催されました。私が子どもの頃は、それはもうたくさんの人が賑わって、親から特別にもらったお小遣いを手に友達と露店目当てにに出かけたものでしたが、しかし近年はどのお祭りも賑わいが少なくなって、本当にさみしい限りですね。豊かな時代になって、いわば毎日がお祭りのようなものになってしまって欲しいものは何でも手に入る世の中になり、心躍るあの感情を今の子どもたちは味わっていないのです。
しかし行きたくもないのに無理やりに来いとも言えませんので、賑わいをつくるにはそうなるような工夫が必要です。そこで舞鶴商工会議所の青年部は『地域振興事業』というものを立ち上げ、このだるま祭りに参画することになりました。それがタイトルの『40mの鉄火巻』のイベントです。
実はだるま祭り実行委員会では、マグロの解体を実演することになっており、その下準備をお手伝いする代わりに赤身をちょっといただいて、それをのり巻きの具にします。これで大幅な経費を削減できることになりました。
しかしチラシなどで告知しても、これだけで大勢の人が来てくれるだけのパワーはありません。そこで、幼稚園児を利用することにしました。舞鶴市内の幼稚園に呼びかけをして、年長の子どもたちに絵を描いてもらい、それを商店街のアーケードに展示するのです。さらに事前に鉄火巻き交換チケットなどを配布しておくことにしました。
そうすることで、絵を見るために商店街に来てもらえると考え、さらに事前にチケットを配っておくことによって、イベントの時間に合わせて来てくれると見込んだのです。そして来てくれた子どもたちによって40mというメチャクチャ長いのり巻きを一緒に巻いて、それをみんなで分けて持って帰ってもらって家族で楽しい思い出づくりをしてもらい、ついでに他のお店やイベントも楽しんでいただこうという、二重・三重のワナを仕掛けたわけです。(笑)
子どもたちを呼び込めば必ず親やおじいさん・おばあさんがついてきます。こののり巻きのイベントの時は、いつも閑散としているアーケード内が東京の原宿みたいになりました。お祭りの実行委員会のみなさんからも、たくさんのお客さんを新しく呼び込んでくれたと非常に喜んでいただけたようです。
本当なら来なかったであろう大勢の家族連れを300人規模で創出したのは既成概念に囚われない発想と計画力と実行力だったと思います。後から見れば、何だそんなことかと思われるかもしれませんが、普通の中に隠れているちょっとしたきっかけをうまく掴むかどうか、商売のヒントはきっとこういうところにあるんでしょうね。