戸島は舞鶴湾に浮かぶ島の中では最も大きな無人島です。夏季になるとキャンプ地として開放され、毎年多くの青少年たちが訪れ、電気・ガスのないサバイバルな生活を体験することによって集団生活の中での協調性や人間性を磨いてきました。
その青少年の島が岐路に立たされています。キャンプ場は昭和44年度に創設されているため施設の老朽化が以前から指摘されていたのですが、さらにイノシシやヌートリアが島の中で幅を利かせてくるようになり、子どもたちに危害が及ぶのではないかという懸念に加えて糞害によっての地下水の汚染についても想定されるため、キャンプ地としてこれからも運営していってもよいのかどうかという議論が改めて持ち上がってきたのです。そこで京都府では、専門家などによる調査を実施し今後の戸島の運営のあり方を検討することになりました。
あり方を検討するならば、いろんな角度からの検証が必要となります。とするとまず何よりも重要視しなければならないことは安全性です。この点では、地下水が生活用水として使用できるかどうか、動物が人間に危害を加える可能性の有無について、また施設が継続して使用できるかどうか、という検証が必要で、これは現場を調査したうえでの判断が必要となりますので、専門家による調査の推移を見守るしかないようです。
次に戸島が今後も青少年の島であり続けることの必要性です。昭和44年当時、このように野外でキャンプができる類似の施設はほとんどなかったと推察しますが、現在はどうでしょう。また近年の利用者数の推移を調べてもらったのですが、実は利用者のピークは14,327人で昭和54年にまで遡らなければならず、その後は減少傾向にあって昨年、つまり平成19年には2,392人、ピーク時のわずか16.7%にまで落ち込んでしまっています。
そのような中、京都府は舞鶴市に200万円で管理委託し、舞鶴市はさらに管理人を置くための人件費などのために単費を拠出して毎年7月から8月いっぱいのシーズン中の運営を行っているのです。先ほど書いたように、施設は40年近くも経過して相当老朽化しており、今後も続けるのであればそれ相応の設備投資は間違いなく必要であり、そのようなことを総合してこれからの戸島の青少年の島としてのあり方を考えていかなければなりません。
私が思うに、確かにあの慣れ親しんだ戸島のキャンプ場が閉鎖されてしまうのはさみしいことですが、そういう選択肢も十分にあり得ると考えています。8,000億円もの京都府の予算規模からすればほんのわずかですが、このようなことの積み重ねが行財政改革なのであり、スリム化したり、より重要な施策に充当する貴重な財源となるわけです。
しかし、イノシシとかヌートリアとか・・・。昔はタヌキの生息地だったんですけどねえ。