ダイワボウマテリアルズ(株)舞鶴工場が火災に見舞われたのは6月7日のことです。午前9時過ぎ、私は京都に向かう途中の西舞鶴で見慣れない煙が上がっているのを見かけ、火事か?野焼きか?という感じで現場付近を通り抜けると、消防がたくさん集まっていたので火事だったかと認識したのですが、そのときには舞鶴史上最大規模の火災になることなど想像もしていませんでした。
議会で仕事をこなしながら逐次舞鶴の状況を確認していたのですが、時間とともに大変な事態になっているということが分かりました。私の友人もその工場で働いていたのですが、夕方電話がかかってきて、『あかん、全焼や・・・』と絞り出すように話し、呆然となっているのが伺えました。
民間企業の話ですし、中途半端なことも書けないなと思いブログでは控えていたのですが、一定方向性が出たようなので、このあたりで少しだけ書いてみようかなと思います。
まずは関係機関がこの件でしっかりと連携できるよう、連絡会議を設置し、数回にわたり開催しました。もちろんダイワボウマテリアルズにも出席していただいています。
私たちは企業がこの損害に対してどういうスタンスで今後の方針を出されるかが非常に気になっていました。200人以上の雇用を抱えている市内有数の大規模工場がもし撤退してしまったら、舞鶴の地域経済に大きな打撃を与えることになりますし、何よりそこで働いていらっしゃる従業員の雇用がどうなっていくのかが最も気がかりなことでした。
さて、では再建にあたっての現在の府や市の支援体制は、というと実は全くありません。企業向けの現在ある融資制度や助成制度は今回のようなことを想定していませんでしたので、見事なまでになにも当てはまりませんでした。しかし事態が事態だけに、可能な限りの柔軟な対応をしなければということで関係機関とも協議していましたし、先方にもそう伝えていたはずでした。
具体的に行政が取り組めたのは、離職者に対するケアです。従業員のうち、パートや嘱託が実に110名もいらっしゃり、そのうちの72%に当たる79名が50歳以上で、これらの人たちは早々と解雇が決定してしまいましたので、再就職支援を行ったのです。
まず離職者の大半が中高年であることから、『ふるさとコールMAIZURU』にシニア向け相談コーナーを新設してきめ細かく対応することにしました。またハローワークと連携し、各団体からカウンセラーを派遣してもらい、セミナーや個人相談を実施し、今後も履歴書の書き方や面接の受け方までをレクチャーするセミナーを実施する予定となっています。その他にも舞鶴市との連携によって若年層向けの対応、女性向けの対応、そして職業訓練を希望される方には教育訓練機関に委託して再就職の促進を図ろうと考えています。
しかし本来はこのようなことに加えて、工場再建への後押しをさせていただきたかったというのが関係当局の本心です。そのために何でもご相談くださいという気構えでいたのですが、ある日突然、プレス発表の当日になって企業側から行政に連絡が入り、今稼働しているところも含めて『全面撤退する』旨の報告がされました。
これだけ気をもんで成り行きを見守り、応援させていただきますと申し出ていたにも拘らず、私たちにとって企業側の『突然かつ問答無用』の対応には正直なところ大きな戸惑いがあります。こちら側の思いを伝えるのがうまくいかなかったと解釈せざるを得ないのか、そのようなことは関係ない企業の論理なのか。舞鶴史上最大規模の大火災は、いろんな意味での爪痕を舞鶴に残しました。